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独立開業を目指すなら知っておきたい!ベンチャー企業の税制と基礎がわかる5項目

ベンチャー企業とは革新性と高い成長性を持ち、設立して間もない企業の総称です。当サイトでは模倣と革新の境界やスタートアップとの違いなどを分かりやすく解説し、これからベンチャー企業で独立開業を目指す方の参考になる情報を紹介しています。

ベンチャー企業とは

◆ベンチャー企業とは
新規性や革新性を持ち、高い成長性を目指して設立された比較的新しい企業の総称


「ベンチャー(venture)」の和訳:冒険や冒険的な事業、危険を伴う企業などの意味を持ちます。

もう少し掘り下げて説明すると、大企業では取り組まないような独自の技術アイデアを活かして、新しいサービスやビジネスを創造する事業をしていることがベンチャー企業の定義とされています。

 

良い意味では高い成長性を持っていて、悪い表現を使うと安定性に欠けている企業という意味です。

 

 

設立何年以内がベンチャー?

ベンチャー企業の設立を考える人

 

一般的にベンチャー企業は設立から5年以内の企業を指しますが、明確な定義はありません。

  • 業種やビジネススタイルによっては設立10年以内の企業をベンチャー企業と呼ぶことがあります。
  • 設立10年を超えていても企業が自主的に「ベンチャー」という言葉を使っている場合があります。

なお、設立5年以内の企業が全てベンチャー企業に分類されるわけではありません

◆ベンチャーではない例
フランチャイズで独立するなど、大手が提供する既存サービスをそのまま提供する業態はベンチャーではありません。

 

 

模倣と革新の境界

ベンチャー企業の設立を考える人

 

ベンチャー企業の定義と基準をプロフェッショナルな視点から解説します。
大手のまねごとをするビジネスの場合、革新的なアイデアや新しいビジネスモデルを持っていないため、ベンチャーではないという意見があります。

 

しかし、以下の観点からこの議論を整理することができます。

 

1. 模倣と革新性の関係
すべてのビジネスは何らかの形で既存のモデルを参考にしているものです。
重要なのは、そのビジネスがどれだけ新しい価値や差別化を生み出しているかです。

 

独自の工夫や新しいアプローチを取り入れている場合、それは模倣を超えて革新的とみなされることもあります。

2. 「革新性」の広義な解釈
ニッチな市場や新しいターゲット層にアプローチしている場合も革新性があると評価されることがあり、ベンチャーの定義は広義にわたると言えるでしょう。

 

簡単にまとめると新しさを感じないビジネスモデルだった場合でも、経営者などが独自の考えで戦略を考えて実行できるのであればベンチャー企業を名乗って問題ありません。

 

 

スタートアップ企業との違い

ベンチャー企業の違いを解説する人

 

スタートアップ企業はベンチャー企業の一種ですが、ビジネスシーンでは明確な差別化がされています。

◆ 定義と目指すもの
・スタートアップ
既存にはない革新的なアイデアやビジネスモデルで急成長を目指しています。
事例:新しいアプリやサービスを開発し、スケールを狙うIT企業などがスタートアップ企業


・ベンチャー
既存のビジネスモデルや市場の中で、新しい価値を提供しようとする企業を指します。

◆ 成長期間とスピード
・スタートアップ
短期間で大きな成長を目指すビジネスモデルです。
ビジネスを展開するまでのスピード感が重要になり、必要に応じてまとまった資金調達をして短期集中の開発や大々的なプロモーションをします。


・ベンチャー
中長期的な成長を目指すビジネスモデルです。

◆ 競争環境
スタートアップは原則として競合がいませんが、分野によっては同時期にスタートアップするライバルが存在します。

 

 

学生や主婦でも起業できる?

起業を考える学生や主婦のイメージ

 

ベンチャー企業を起業する場合、一般的に法人を新規設立することになります。

 

株式会社の場合は最低でも20万円。合同会社でも最低10万円ほどの設立費用が必要です。
また、法人は税申告が複雑で税理士や会計士を利用する必要性が高いため、相応の収益見込みがないと維持できません

 

学生や主婦など一般の個人が起業する場合、個人事業主(フリーランス)から始めた方が無難です。

 

法人化のメリット:

  • 業種によっては法人の看板がないと集客できないケースがあります。
  • 法人にした方が銀行などから資金調達しやすいことがあります。

 

会社の規模にこだわらないのであれば、学生や主婦がアルバイト・パートなどで貯めた少額の自己資金でもベンチャー企業を立ち上げることが可能です。

 

独立起業したい個人の場合、日本政策金融公庫からの公的融資で創業費用を調達する方法があります。

 

融資のポイント:

  • 事業計画書を作るなどの手間がありますが、事業計画がしっかりしていれば素人による自力での申請でも高額な融資を受けることが可能です。

 

つまり学生や主婦、子育て中や介護で多忙な時間を過ごしているような人でも、ビジネスのアイデアとやる気があれば起業してベンチャー企業の社長になれます。

 

ただし法人を設立する場合は、維持費の問題などから失敗すると損失を出すリスクが高いので注意してください。

 

しっかりと市場の分析と事業計画を立て、たしかな自信がある中でチャレンジするとよいでしょう。

 

 

法人設立の目的

費用について話す人

 

法人は個人事業主に比べて初期費用と維持費がかかるデメリットがありますが、社会的な信用性が高いです。

 

起業家が法人設立をする目的と理由の事例をまとめました。

 

消費税

  • インボイス制度(適格請求書の発行)が始まる前によく見られた事例で、以前は法人設立から最長2年は消費税の納税が免除される制度があり、税制優遇を目的に個人事業主から法人化する事例が多く見られました。
  • 現在も起業して免責事業者を選択することはできますが、インボイス制度に伴う適格請求書を発行できないデメリットがあります。
  • 適格請求書を発行しなくても仕事を受注できる見込みがあれば、税理士などに相談しながら個人事業主から法人へのステップアップを検討してみてください。

 

許認可の問題

  • 業種によっては営業許可などの許認可を取る必要があり、個人から法人になった場合は許認可を取り直さないといけません
  • 将来的なことを考え、許認可の問題から創業時は最初から法人設立をするのが定番の業種が存在します。

 

節税対策

  • 法人は最低でもかかる税金と税理士報酬などの維持費がかかりますが、利益が出ているビジネスの場合は個人事業主よりも有利節税対策できる場合があります。
  • 相応の利益が出る見込みがあるのなら、税理士などの専門家に相談した上で法人設立を検討してみてください。

 

資金調達しやすい

  • 法人は信用性が高く、資金調達する際もまとまった金額の融資を受けやすいです。
  • 事業投資が必要なビジネスの場合は、早い段階で法人を設立させた方が有利なことが多いです。
  • 補助金を活用する場合も法人と個人で金額が変わることがあるので、様々な資金調達法のことを考慮しておきましょう。

 

信用

  • 法人は個人よりも様々な観点で信用性が高いです。
  • 求人を出して従業員を募集する際も個人より法人の方が反響を期待できます。
  • 会社の看板があれば顧客や取引先からの信用も得られるため、営業を有利にする目的でコスト面のデメリットには目を瞑って法人設立をするケースも多いです。

 

色々な人に相談しよう

起業したい場合は色々な人に相談することが大切です。

◆相談相手の例
家族、同僚、友人、取引先になる予定の会社、金融機関など

様々な人に相談して、慎重に事業計画を立てましょう。
会社設立する場合でも、やり方次第では少ない自己資金で開業が可能です。

 

しかし、素人が下調べをせず軽い気持ちで起業すると高い確率で失敗します。

 

融資を受けるつもりがない場合でも、金融機関などに相談して事業計画書を見てもらうとよいでしょう。

 

最初は反対やダメだしをされることが多いですが、現実的な問題を受け入れて一つずつ対策を講じて起業するのが成功への近道です。